東京高等裁判所 昭和26年(ナ)35号 判決
原告 佐藤重太郎 外五名
原告等補助参加人 中島明 外一二名
被告 東京都選挙管理委員会
被告補助参加人 御供啓介 外三九名
一、主 文
原告等の請求を棄却する。
訴訟費用中原告等補助参加人等の参加によつて生じた費用は原告等補助参加人等の負担とし、その余は原告等の負担とする。
二、事 実
原告等訴訟代理人は、「被告が原告等の訴願に対し昭和二十六年八月十日なした裁決中、その他の請求はこれを棄却するとの部分を取り消す、訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求の原因として
(一) 原告らは、昭和二十六年四月二十三日執行された東京都中野区議会議員選挙の選挙人であるが、右選挙の当選の効力につき、昭和二十六年五月七日東京都中野区選挙管理委員会に対し異議の申立をしたところ、即日却下された。よつて原告らは同月二十三日被告に対し訴願を提起したところ、被告は同年八月十日「中野区選挙管理委員会の昭和二十六年五月七日附訴願人らの異議申立に対する決定を取り消し、その他の請求はこれを棄却する。」との裁決をなし、原告らに対し同月十一日右裁決書の正本を交付した。
(二) 右裁決中「その他の請求はこれを棄却する」との部分は次の理由によつて失当であるから、取り消さるべきものである。
(イ) 昭和二十六年四月二十三日執行された中野区議会議員選挙は、昭和二十五年九月十五日現在の調査に基いて調製された基本選挙人名簿と昭和二十六年四月二十三日現在に至るまでの有権者につき調査して調製された補充選挙人名簿に基いて執行されたものである。しかして基本選挙人名簿又は補充選挙人名簿に登載された有権者のうち、死亡、他地域えの転出、及びその他の原因によつて選挙権を喪失した者がある時は基本選挙人名簿及び補充選挙人名簿を実査に基き、中野区選挙管理委員会において修正しなければならないものである。そうしなければ無権利者が選挙権を行使することになり、公職選挙法の精神に反する結果となるからである。
しかるに、中野区選挙管理委員会は、昭和二十六年四月二十三日現在において中野区議会議員の選挙権を有しない者(死亡者、他地域転出者等)につき選挙人名簿を修正せず、昭和二十六年四月二十三日執行された中野区議会議員選挙の基本及び補充選挙人名簿には、六千三百四十九人の無権利者が登録されていた。その結果無権利者に対する入場券を所持した者三百四十七人(内五名は死亡者、その他は地域転出者、その氏名、住所、その他詳細は記録編綴の七〇丁から七六丁まで及び七八丁から八四丁までの目録参照)を有権者として取り扱い、これらの者をして投票せしめている。これらは、いずれも無効の投票であり、しかもそれがいずれの候補者に投票したものであるか、又いずれの候補者の有効投票として計算されたものであるかを知ることができず、これらの無効投票は中野区選挙管理委員会が当選人として決定した候補者全部について影響を及ぼすものである。
(ロ) 投票管理者は午前七時から午後六時まで投票所において正規の投票用紙を準備しておき、予め配布した入場券と引換に、その選挙人の同一性を確定してこれに投票用紙一枚を交付しなければならない。しかるに昭和二十六年四月二十三日執行された中野区議会議員選挙の投票所の内、上高田小学校に設置された投票所においては、午後四時過頃投票用紙がなくなり、もよりの投票所から投票用紙を取り寄せるため数十分間空白時間がおかれる結果となり、その間に投票せずに帰つた者は三百人に達した。これら三百人の有権者がいずれの候補者に投票したであろうかは、もとより知る由もない。従つて各候補者は少くとも各三百票の得べかりし投票を失つたことになる。
(ハ) 以上(イ)の無効投票三百四十七票、(ロ)の有効投票たり得べかりし三百票との合計六百四十七票は、昭和二十六年四月二十五日中野区議会議員選挙の選挙会において最高得票を得たものと決定された鳥海修の得票千四百三十三票と、次点者と決定された大館政吉の得票八百八十四票との差五百四十九票を超すから右鳥海修外三十九名の当選人全員の当選は無効である。
(三) 公職選挙法の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第三百七号)は、昭和二十七年九月一日から施行せられ、いわゆる潜在無効投票の処理に関する新規定(法第二百九条の二)が公布の日から現に係属中の異議の申立、訴願、又は訴訟にも適用される(同附則2)こととなつた。しかし従来の判例によれば潜在無効投票が有効投票に混入されていることが判明したときは、各当選人につきそれぞれ潜在無効投票が全部集中したものと仮定して、その得票数から無効投票を控除してもなおかつ次点者(最高位落選者)より得票数の多いものは当選を失わないが、次点者と同数以下の者は当選を失うこととされていた。しかして、この判例は法たる効力を有するものであつて、この判例法の下に昭和二十六年四月二十三日前記選挙が行われたのである。従つてこの選挙における当落を決定するためには、この判例法に従わなければならない。右選挙後に制定された改正法律をこの法律制定前に執行された選挙に関する異議の申立、訴願又は訴訟に適用する旨の前記改正法附則2の規定は、法律不遡及の原則に反するものであつて、無効のものである。従つて改正法第二百九条の二は本件訴訟に適用さるべきものでない。しかる時は、本件選挙の当選人全員の当選が無効であることは前記(二)のとおりである。
しかし、仮に改正法第二百九条の二が本件訴訟に適用があるものとすれば、前記(二)(イ)掲記の三百四十七票の潜在無効投票を各候補者の得票数に按分すべく、然るときは、候補者鳥海修、市川義明、南石次、御供啓介、塩沢俊一、竹林秀雄については各五票、古沢勇士、中谷千章、宇佐美和助、矢島尚吉、藤沢綱吉、栗原輝、鈴木一磨、篠孫三郎、臼井岩太郎、辻菊一、中林三次郎、大坪英子、松井利喜、後藤マン、神田勘十郎、岡島隆一、家令昌紀、秋元武蔵、高橋源之助、沢野磯次郎、近藤正二、持田元広、笹本武一、石野朝次郎は各四票、佐野平、村上斉一、荒牧謹治、鈴木庄八、樋口清、高崎保、村松虎之助、伊東幸吉、細谷章、宍戸幸栄は各三票をそれぞれその得票数から控除されることとなる。
更に、右潜在無効投票の外に、各候補者の有効投票としてその得票中に算入された投票の中、候補者宍戸幸栄については七十六票(検甲第一ないし第七十六号証)同細谷章については七十一票(検甲第七十七ないし第百四十七号証)同村松虎之助については七十六票(検甲第百四十八ないし第二百二十三号証)同樋口清については六十六票(検甲第二百二十四ないし第二百八十九号証)同伊東幸吉については二百五十三票(検甲第二百九十ないし第五百四十二号証)の公職選挙法第六十八条に該当する無効投票がある(別紙目録参照)。従つてこれを右各候補者の得票数(宍戸幸栄は八百八十六票、細谷章は九百四票、村松虎之助は九百二十三票、樋口清は九百三十八票、伊東幸吉は九百九票)からそれぞれ差し引くと、当選決定を受けた右各候補者の得票は、次点者である大館政吉の得票八百八十四票より少数となる。
又落選候補者内村信三の得票は八百七十九票であるが、無効投票として除外された投票中、内村信三の有効投票とすべきものが十一票あるから、これを加えると同人の得票は八百九十票となり、右五名の当選人の得票よりも多数の投票を得たこととなる。
よつて、少くとも、右宍戸幸栄、細谷章、村松虎之助、樋口清、伊東幸吉の当選は無効である。
(四) しかるに被告は、昭和二十六年四月二十三日執行の東京都中野区議会議員選挙の当選人の決定を適法とし、当選人全員の当選を無効とすることを求めた原告らの訴願請求を棄却した。この被告の裁決は失当であるから、これが取消を求めると述べた(証拠省略)。
原告ら補助参加人中島明外十名訴訟代理人(中野峯夫)は原告ら補助参加人中島明外十名は、昭和二十六年四月二十三日執行された中野区議会議員の選挙人であつて、右選挙並びに本訴の結果については利害関係を有するものであるから、原告らを補助するため参加したと述べた。
原告ら補助参加人内村信三、同大館政吉訴訟代理人(阿部明治太郎)は、原告ら補助参加人内村信三、同大館政吉は昭和二十六年四月二十三日執行の中野区議会議員選挙の選挙人で、かつ候補者であつたが、大館政吉は八百八十四票の投票を得て次点者(首位落選者)となり、内村信三は八百七十九票を得て次位落選者となり、本件訴訟の結果について利害関係を有するから、原告らを補助するため参加したと述べた。
被告指定代理人は、主文第一項同旨並びに訴訟費用は原告らの負担とするとの判決を求め答弁として、原告らの主張事実中
(一)の事実を認める。
(二)の(イ)の事実中、基本及び補充選挙人名簿に六千三百四十九人の無権利者が登録されていたこと、内三百四十七人の無権利者が投票したことを否認する。主食配給受給地をもつてその者の住所地とすることは誤であつて、主食配給の受給は単に住所認定の一資料たるに過ぎない。従つていわゆる転出、すなわち主食配給受給地の移動が常に住所地の移動を伴うものとはいえないから、原告ら主張のように主食配給受給関係の転出届がなされていたとしても、直ちにその者の住所の移転があつたと断定することはできない。被告の調査によれば原告ら主張の転出者中乙第一ないし第二百三十二号証に掲記した者は、あるいは入院のため、あるいは長期旅行のため、あるいは家屋新築又は家財道具搬出その他の都合により転出届を提出したが、それにもかかわらず本件選挙の当日中野区に住所を有し、従つて選挙権を有していた者である。
(二)の(ロ)の事実は否認する。
(三)の事実中、公職選挙法の一部を改正する法律附則2が無効であるとの主張は理由がない。従つて仮に原告ら主張のように三百四十七票の潜在無効投票があつたとしても当選人が当選を失うのは、公職選挙法改正法律第二百九条の二により当選人の得票から潜在無効投票を差し引いた残が当選のための法定得票数に達しない場合だけであるところ、本件選挙の選挙会における法定得票数は五百六十八・五票であり、最下位当選人宍戸幸栄の得票は八百八十六票であるから、本件選挙の当選人はすべて当選を失わない。
又当選人宍戸幸栄、細谷章、村松虎之助、樋口清、伊東幸吉の得票中に、それぞれ原告ら主張のような無効投票が算入されているとの主張中、細谷章にかかるもの一票(検甲第七十七号証)伊東幸吉にかかるもの二票(検甲第二百九十号証、第二百九十一号証)村松虎之助にかかるもの一票(検甲第百五十四号証)樋口清にかかるもの二票(検甲第二百二十四号証、第二百八十九号証)が公職選挙法第六十八条の規定に該当する無効投票であることを認めるが、その余の投票が右規定に該当する無効投票であることを否認する。右無効投票を当該当選人の得票から控除しても本件選挙の当選人の決定に影響を及ぼさないことは計数上明らかである。なお無効投票として除外された投票中に、落選候補者内村信三の有効投票とすべきものが十一票あることを否認する。
よつて、本件選挙の当選人の決定を違法とし、当選人全員の当選を無効とすることを求めた原告らの訴願請求を棄却した被告の裁決は正当であり、これが取消を求める原告らの本訴請求は失当であると述べた(証拠省略)。
被告補助参加人ら訴訟代理人は、被告補助参加人らは昭和二十六年四月二十三日執行の中野区議会議員選挙の候補者でかつ当選人であり、本件訴訟の結果につき利害関係を有するものであるから、被告を補助するため参加したと述べた。
三、理 由
原告らが昭和二十六年四月二十三日執行された東京都中野区議会議員選挙の選挙人であること、原告らが右選挙の当選の効力につき、原告ら主張のように異議申立を経て被告に訴願を提起したところ、被告は右選挙における当選人全員の当選は有効であるとし、同年八月十日「中野区選挙管理委員会の昭和二十六年五月七日附訴願人らの異議申立に対する決定を取り消し、その他の請求はこれを棄却する。」との裁決をなし、原告らに対し同月十一日右裁決書の正本を交付したことは、当事者間に争のないところである。
よつて原告らが右選挙における当選人全部又はその一部(宍戸幸栄、細谷章、村松虎之助、樋口清、伊東幸吉)の当選が無効であると主張するところを順次検討する。
まず第一に原告らは、本件選挙に公職選挙法の一部を改正する法律(原和二十七年法律第三百七号)第二百九条の二を、従前の公職選挙法の規定による当選の効力に関する争訟で、この法律の公布の日において現に裁判所に係属している訴訟にも適用する旨の同法附則2の規定は無効であると主張し、その理由としていわゆる法律不遡及の原則をあげているけれども、右の原則は立法上の原則ではなく、法律解釈上の原則であつて、新立法によるときは、当該立法以前に成立した事項についても新法の効力を遡及せしめ得るものというべきであるから、右改正法附則2の規定を無効とする原告らの主張は理由がない。
しかして、右改正法は、昭和二十七年九月一日から施行されたが、同法附則2により同法第二百九条の二が同法公布の日(昭和二十七年八月十六日)に裁判所に係属していた訴訟に適用されることとなつたため、右第二百九条の二が本件訴訟に適用されることは明らかである。
次に、原告らは、本件選挙において無効投票であつて、しかも有効投票に算入されたいわゆる潜在無効投票は少くとも三百四十七票あると主張しているが、原告らの証拠によつては未だこれが存在を認めるに十分でないのみならず、仮にかかる無効投票が存在していたとしても、本件選挙における候補者全員の得票数を改正法第二百九条の二の規定によつて計算すれば、原告ら主張のとおり、当選人鳥海修外三十九名の得票数は選挙会決定の得票数からそれぞれ五票ないし三票を差し引いた数となること、本件選挙において有効投票として取り扱われた九万九百四十四票から、前掲三百四十七票の潜在無効投票を差し引いた九万五百九十七票を議員定数四十で除した数の四分の一(公職選挙法第九十五条の規定による法定得票数)が五百六十六・二票であること最下位当選人宍戸幸栄の得票数から前記按分控除票三票を差し引いた得票数が八百八十三票であることが、それぞれ成立に争のない乙第二百三十三号証(本件選挙の選挙録)と計算上とから認められるから原告ら主張の潜在無効投票の存在は、本件選挙の当選人鳥海修外三十九名の当選の効力に何の影響も及ぼさないものといわなければならない。
次に原告らの(二)の(ロ)の主張事実は、選挙無効の原因として主張するは格別本件選挙の当選人の当選を無効とする理由として主張し得ないものであるのみならず、本件一切の証拠によるも右主張事実を認めることさえもできないから、原告らの右主張はこれを採用できない。
次に原告らの(三)の主張中、各候補者の有効投票としてその得票中に算入された投票の内当選人宍戸幸栄、細谷章、村松虎之助、樋口清、伊東幸吉の得票中にそれぞれ別紙目録記載の無効投票があるとの主張について判断する。しかして検甲第一ないし第五百四十二号証が当選人宍戸幸栄、細谷章、村松虎之助、樋口清、伊東幸吉の得票中に算入せられたものであることは当事者間に争なく、原告らはこれらはいずれも無効投票であると主張するのであるが、細谷章の得票中の一票(検甲第七十七号証)には「内藤虎蔵細谷章」と記載してあり、公職選挙法第六十八条第一項第三号に該当し、伊東幸吉の得票中の二票中の一票(検甲第二百九十号証)には、「イトウ」と記載せられてあり、本件選挙における候補者伊東幸吉、伊藤和子(前記乙第二百三十三号証参照)のいずれを記載したものであるか確認し難く、法第六十八条第一項第七号に該当し、伊東幸吉の得票中の他の一票(検甲第二百九十一号証)は議員候補者氏名欄に「伊藤幸吉」と記載し、その裏面に「皆川五郎」と記載してあり、明らかな他事記載と認められ、法第六十八条第一項第五号に該当し、村松虎之助の得票中の一票(検甲第百五十四号証)には「区議村松」と記載せられてあり、法第六十八条第一項第五号に該当し、樋口清の得票中の二票は、一票(検甲第二百二十四号証)は投票用紙の半分を切り取り、残半分に「樋口清」と記載したもので法第六十八条第一項第一号に該当し、他の一票(検甲第二百八十九号証)は「樋口慎治」と記載せられてあり、本件選挙における候補者樋口清、福田慎治(前記乙第二百三十三号証参照)のいずれを記載したものであるか確認し難く、法第六十八条第一項第七号に該当し、いずれも無効投票というべきである。しかしその余の投票中、原告らが法第六十八条第一項第一号(成規の用紙を用いないもの)に該当すると主張する分は、仔細にその票を検するに成規の投票用紙を用いながら、議員候補者氏名欄内に候補者の氏名を記載せず、同欄の裏面に候補者の氏名を記載したもの、あるいは同欄内の外、同欄の裏面に同一候補者の氏名を記載したものにすぎないのであつて、これを以て法第六十八条第一項第一号に該当するものとは到底なしがたく、いずれも有効投票というべきである。次に原告らが法第六十八条第一項第五号(他事記載に該当すると主張する分は同様その票を精細に検査するに、あるいは候補者の氏名、又は氏名の全部又は一部に振仮名を附したるものあり、又は候補者の氏名の外何かの記載ないし墨痕の存するものもあるが、検甲第百五十六号証の「上町住人虎之助」なる記載は候補者村松虎之助の住所を記載したものとして同号但書により許さるべく、その他もその態様からみて、誤字又は書損じた文字を抹消し、又はこれを書き直し、あるいは誤記をおそれて振仮名を附し、又は誤つて候補者の氏名欄の裏面に記載したのをさらに同欄に書き直したにすぎないものと認められ、到底意識的な他事記載と認めることができないから、これらはいずれも右規定に該当しない有効投票と認むべきものである。次に、原告らが法第六十八条第一項第七号に該当すると主張する伊東幸吉の得票中の百七十八票(検甲第三百六十五号証ないし第五百四十二号証)は「伊東」とのみ記載したもの六票、「伊藤幸吉」と記載したもの百七十二票で、右はいずれも伊東幸吉に対してなされた投票と認むべく、本件選挙における他の候補者伊藤和子に対してなされたものと認むべきでないことが明らかで、法第六十八条第一項第七号に該当しない。然らば前記認定の無効投票をそれぞれ該当当選人細谷章、伊東幸吉、村松虎之助、樋口清の得票から控除しても、同人らの得票が最高位落選者大館政吉の得票よりも多数であることは、前記乙第二百三十三号証により明らかであるから右細谷章、伊東幸吉、村松虎之助、樋口清の当選の効力に影響はない。
次に、原告らは次位落選者内村信三の得票は無効投票中より十一票を加え、八百九十票であると主張しているが、本件選挙の選挙会が無効投票と判定した投票中の十一票が内村信三のための有効投票であると認むべき証拠なく、従つて最下位当選人宍戸幸栄の得票が次位落選者内村信三の得票より少数となるとの原告らの主張は排斥を免れない。
然らば本件選挙の当選人全員の当選の効力には欠くるところなく、当選無効の訴願請求を棄却した被告の裁決は正当であつて、被告の裁決の取消を求める原告らの本訴請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十三条第九十四条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判官 大江保直 岡咲恕一 猪俣幸一)
(別表省略)